やはり「糖質制限」のやりすぎは、腸へのダメージが大きい!その理由とは

「糖質オフ」「糖質制限」の文字が書いてある食品・飲料は売れ行きがのびるという事実。でも、本当に、みんなが糖質オフ・炭水化物抜きをした方がいいのかな?…ってずっと私疑問に思っていました。



1.相変わらず大人気の「糖質制限ダイエット」

 

過去にまとめたコラム「間違った腸活されてませんか?【糖質制限ダイエット】と【美腸活】の関係をお読みいただきたい。


糖質=炭水化物というイメージが定着していることから、糖質を制限することで、血糖値が上がりにくくなり、体重の減少効果も得やすいというダイエット方法が相変わらず人気ではありますが、日本人の腸内環境を考えると、気を付けなくてはならないことも多いのです。


少し前にはなりますが、2013年に日本糖尿病学会が発表した内容では、


「糖質のみを極端に制限して減量を図ることは有効性だけでなく,長期的な遵守性・安全性においてもエビデンス不足で,「現時点では薦められない」との判断」


との内容を発表しているにも関わらず、6年を経過した今でも、その無意味といわれる糖質制限ダイエットがなぜ流行っているのか? その背景を考えてみることにしましょう。



2.おすすめできない糖質制限ダイエットが流行っているのはナゼ?


ふかふかした白いパン、炊きたての白米、砂糖たっぷりの炭酸飲料──このような精製された炭水化物を用いた食品や飲料はおいしくて、つい食べてしまうという方が多いのが現状かと思います。


しかし、こうした食品は消化吸収されやすいため、それだけで食べると血糖値が急上昇します。そしてこの食後高血糖状態が常態化すると肥満や老化を促し、糖尿病リスクを高めてしまう。


さらにそれだけではなく、高血糖がメンタルを不安定にし、うつのリスクを高めると指摘する研究データもあります。 体を高血糖状態にすることのリスクと、糖尿病などの病気への予防対策から→ 糖質を制限する!という行動になり → 食事量を減らす(=エネルギー減)ことで、ダイエットにつながる、という発想が定着しているかと思われます。


でもでも。よく考えてみましょう!


血糖値を上げやすい糖質食品の代表といえば、糖類に分類される砂糖です。


過去10年間に発表された計36の疫学研究を統合的に解析した報告では、砂糖入り飲料の摂取量が増えると、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、心臓病や脳卒中のリスクが高まるデータが発表されました。 また、世界保健機関(WHO)が2015年に発表した、「砂糖摂取に関するガイドライン」では、健康のためには砂糖の摂取は1日25g以内に抑えるのがいいとしているが、これは角砂糖7個分(1個3.5g)ほどなので、砂糖入りコーラを1本(500ml)飲むだけで、倍以上の56g、角砂糖約16個分もの砂糖がとれてしまうことになり、甘い菓子類の食べ過ぎも危険だが、一気に飲めて糖分がすぐに吸収される砂糖入り清涼飲料には、さらに注意が必要との発表もありました。


つまり、高血糖リスクの元凶・敵は、糖類に分類される砂糖なのです。


次に、血糖値を上げやすい糖質食品として「米」があげられます。私たち日本人にとって、ご飯といえば米というくらい、切っても切り離せない主食。


問題なのは、米そのものが犯人ということではなく、吸収が早い糖類(小さな糖質)や、食物繊維を取り除いた白い穀物をどか食いする、といった糖質食品の食べ方に問題があります。


食物繊維を自然に含んだ状態の穀物は、少なくとも多くの健康な人の血糖値を急上昇させる炭水化物ではないことも事実。 つまり、コーラを大量にガブ飲みする人と、いつも和食でお茶碗1杯の白飯を食べる人が同じ「糖質制限」の元で、一斉に炭水化物を食べない!とすることは大きな違いがあるのです。



3.日本人にとって炭水化物は重要な「食物繊維の摂取源」のひとつ


私たちの「主食=米」は、健やかな生活を送るうえで非常に重要だというデータも多くあります。



米・パン・うどん…この3種類の主食からとる食物繊維は、日本人が摂取している食物繊維全体の15%以上に達しています。


米の消費量が多かった1960年当時には、米は1日に摂取する食物繊維の23~24%に達する供給源で(しかも1日当たりの食物繊維摂取量は現在より5g以上多い20gだった)さらに米は2割を占める最大のタンパク源でさえあったのです。



4.日本人の「腸」は、炭水化物を求めている!

日本人の腸はほかの国々の人たちより炭水化物を求めている… それを裏付けるデータがあります。


下の図は、早稲田大学の服部正平教授らが日本人106人の腸内細菌叢を解析し、アメリカ、フランス、ロシア、中国など他の11ヵ国の人々の平均的な腸内細菌データと比較したもの。




腸内細菌をその遺伝子群の機能で分類すると、日本人の腸には炭水化物を分解する菌がほかの国民より多いことがわかりました。 一番多いのは「ブラウティア」という種類の菌ですが、実はほかの11ヵ国の人々よりも日本人の腸にはよく知られた有用菌「ビフィズス菌」も多いという。


ビフィズス菌もオリゴ糖などの炭水化物をエサにします。これらの菌たちは炭水化物を代謝し、有用物質である短鎖脂肪酸などをつくるのです。 (参照コラム:「腸内細菌がつくる【短鎖脂肪酸】は万能薬!肥満がなくなる?!その効果とは」


このように、小腸で吸収されない難消化性の炭水化物は、有用菌のエサになり、結果的に私たちの心身を守ってくれています。


長い歴史の中で、日本人の腸は、日本独自の食文化でそれぞれの腸内細菌叢を培ってきたかが証明されます。仮に、ほかの国民の腸には、糖質制限食(炭水化物制限食)があまりダメージを与えないとしても、炭水化物をエサにする菌が多い日本人の腸には、ダメージを与えることになる可能性は否定できません。


また最近、米国で1万5400人以上を25年間追跡した研究で「摂取エネルギーの50~55%が炭水化物」という食事をしてきた人たちで死亡リスクが最も低くなり、これより低くても高くても死亡リスクが高まるという結果が出ているそうです。


このようなデータから、現時点でおすすめしたい炭水化物・糖質との付き合い方をまとめると、次の3点にしぼられるかと思います。




(1)添加物砂糖入り清涼飲料など、吸収が早い糖類はなるべく飲まない。



(2)健康な人なら、米や穀物類をむやみに減らすのではなく、食事バランスに配慮する。



(3)「精製された穀物」からできるだけ「未精製で食物繊維を多く含む穀物」を取り入れる。





5.日本人は糖尿病になりやすい体質


もう一つ、覚えておいていただきたいのは、日本人を含む東アジア人は、体質的に血糖上昇を抑えるホルモン「インスリン」の分泌力が他の人種に比べて低く、また腸のまわりに付着して、糖尿病発症リスクを高める内臓脂肪や肝臓、筋肉中にたまる異所性脂肪と呼ばれる危険な脂肪の蓄積が進みやすい体質を持つ、ということ。


決して、「お好み焼き+白いごはん」「ラーメン+炒飯」の炭水化物×炭水化物の重ね食いの食文化をもつ(私たち)関西人に肥満が多いというTVネタではなく、


私たち日本人は、一見やせているように見えても、実は内臓脂肪蓄積型の隠れ肥満になりやすい体質だということを肝に銘じて、食生活を見直していく必要性があるかと思います。






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田和璃佳<インナーケアラボ主宰者>

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